飲食店の廃棄ロスを記録から減らす|仕込み量の決め方と記録の続け方
廃棄ロスが減らないのは「見ていないから」
毎日の閉店後、使い切れなかった食材を捨てながら「今日もまたこれだけ出たか」と思う。でも翌朝の仕込みは、また同じ量。——これが廃棄ロスが減らない現場の典型です。
廃棄ロスを減らしたいとき、真っ先に思いつくのは「仕込みを減らせばいい」という答えです。でも実際には、仕込みを減らしすぎると品切れが出て客離れにつながる。だから結局、多めに作る方向に戻ってしまう。
この「多すぎ・少なすぎ」のループから抜け出すために必要なのは、意志の強さではなく「記録」です。感覚で仕込んでいる限り、正解には近づけません。
まず「どれだけ捨てているか」を数字にする
廃棄ロスを減らすための第一歩は、現状の廃棄量を記録することです。驚くほどシンプルに聞こえますが、これを毎日続けているお店は少数派です。
記録すべき項目は、最初から複雑にする必要はありません。次の3つだけで十分です。
- 品目名(何を捨てたか)
- 数量または金額(何個・何グラム、あるいはおよそ何円分か)
- 曜日・日付
金額換算が難しければ、最初は「個数」や「パック数」でも構いません。例えば「鶏もも肉2枚分(仕入れ価格で約400円相当)を廃棄」という形で記録できれば十分です。
記録のタイミングは、捨てる瞬間がベストです。翌日や週末にまとめて書こうとすると、記憶があいまいになり続きません。閉店作業のチェックリストに「廃棄記録」を組み込んでしまうのが現実的です。
日報の設計について詳しく知りたい方は、飲食店の日報、続かない理由は「項目の設計ミス」にある も参考になります。
1週間分の記録が溜まったら「パターン」を探す
記録は集めただけでは意味がなく、読んで初めて使えるデータになります。1週間分が集まったら、次の視点で眺めてみてください。
「同じ品目が繰り返し出ているか」
例えば、日替わりランチに使う野菜が月曜・火曜に集中して廃棄されているとしたら、週明けの仕込みが多すぎる可能性があります。逆に木曜・金曜に廃棄ゼロなら、週後半に需要が増えているか、前半に使い切っているかのどちらかです。
「曜日の傾向と連動しているか」
売上が少ない曜日の翌日に廃棄が多い、というパターンはよくあります。売上の曜日差については 曜日別の売上分析でわかる、お店の「本当の弱点」 で詳しく触れているので、廃棄記録と並べて読むと気づきが増えます。
「特定イベントや天気と関係しているか」
例えば、雨の日の翌日に特定の食材が余りやすいなら、雨の日の来客減が翌日の廃棄に影響している可能性があります。
パターンが見えてきたら、それが「仕込みの調整ポイント」です。
仕込み量の決め方:「平均」ではなく「分布」で考える
パターンが見えてきたら、次は仕込み量の見直しです。ここで多くのお店がやりがちな間違いが、「1週間の廃棄の平均を出して、その分だけ仕込みを減らす」という方法です。
例えば1週間で鶏もも肉を合計7枚廃棄したとして、1日平均1枚分だから「毎日1枚少なく仕込めばいい」と考える。しかしこれは、月曜に4枚・火曜に3枚・残りは0枚という偏りを見落としています。
大事なのは「平均」より「曜日ごとの実績」です。
仕込み量を見直すときの考え方の順序を整理するとこうなります。
- 曜日別の販売数(または使用量)の実績を3〜4週間分並べる
- 各曜日の「最大」「最小」「よくある値(中央寄りの値)」を確認する
- 最小値に近い量を基準にしつつ、最大値との差を「追加仕込みできる余地」として残す
- 週1回など定期的に実績と照らし合わせて微調整する
例えば金曜のディナー帯に鶏料理が週によってバラつく場合、過去4週の金曜販売数が18皿・22皿・20皿・19皿だったとすれば、18枚を仕込みの基準にして、4枚分は早めに融通できる状態(別の料理への転用など)にしておく、というイメージです。
仕込みを減らすことで原価率への影響が気になる場合は、飲食店の原価率、何%が正解? 計算方法と「下げる前にやること」 もあわせて読んでみてください。
「転用」と「タイムセール」を廃棄ゼロの前提に組み込む
仕込み量を最適化しても、ゼロにはなりません。お店に来るお客様の数は毎日変わるからです。だからこそ、廃棄を最終的に減らすには「捨てる前に何か手を打てる仕組み」を平時から設計しておくことが大切です。
よく使われる方法としては次のものがあります。
- 転用メニュー化:余った食材を翌日の賄いや限定メニューに回す。例えば余ったローストチキンを翌日のランチのサンドイッチの具材にするなど
- タイムセール・SNS告知:閉店2時間前に余りそうな食材を使ったメニューを告知する。「今日限定」として訴求すると売れやすい
- 仕込みの段階分け:全量を朝に仕込まず、ピークを見てから追加仕込みする「二段仕込み」。特に生ものや鮮度が命の品目に有効
これらの仕組みは記録なしでは機能しません。「どの曜日の何時ごろに何が余り始めるか」がわかって初めて、タイムセールのタイミングも決められます。記録を続けることが、こうした打ち手の精度を上げる土台になります。
まとめ
- 廃棄ロスが減らない根本原因は「数字で見ていないこと」にある
- 記録すべきは品目・数量(または金額)・曜日の3つだけ。捨てる瞬間に記録するのがコツ
- 1週間分が溜まったら、平均ではなく曜日ごとのパターンを読む
- 仕込み量は「平均」ではなく「曜日別の実績の分布」をもとに決める
- 廃棄をゼロにしようとするより、転用・タイムセール・二段仕込みの仕組みをセットで持つことが現実的
- 記録が続くかどうかが、改善できるかどうかをほぼ決める
廃棄ロスの記録を日報の中に組み込んで毎日続けるには、入力の手間を最小限にすることが大切です。「レジあと」は飲食店の日報・売上管理を一か所にまとめるサービスで、廃棄記録も日報の一項目として残せるため、集計や振り返りが続けやすくなります。まずは無料でお試しください。
よくある質問
Q. 廃棄ロスはどう金額換算すればいいですか?
廃棄した食材の仕入れ価格(税込みの仕入れ単価)に廃棄数量を掛けた金額が基本的な廃棄金額です。例えば1パック500円の食材を半分使い切れずに捨てた場合は250円の廃棄ロス、と計算します。最初から正確な金額を出すのが難しければ、「おおよそ何百円分」という粗い記録からスタートして、慣れてきたら精度を上げていくのが続けるコツです。
Q. 仕込み量を減らしたら品切れが怖いのですが、どう考えればいいですか?
品切れへの不安はもっともですが、仕込みを一気に減らす必要はありません。まず現状の廃棄記録を3〜4週間分取り、曜日別の最小販売数を確認してください。その最小値を基準に仕込みを設定し、追加仕込みできる食材(下処理済みで冷蔵保管できるもの)を「バッファ」として持つ形にすると、品切れリスクを抑えながら廃棄を減らせます。二段仕込みの仕組みを取り入れているお店では、廃棄は減りつつ品切れも起きにくくなるケースが多いです。
Q. 「レジあと」で廃棄記録はどのように残せますか?
「レジあと」では日報の入力項目をカスタマイズできるため、廃棄ロスの品目・数量・金額などを日報の一項目として毎日記録できます。記録したデータは日付・曜日ごとに確認できるので、「どの曜日に何が余りやすいか」というパターンを把握しやすくなります。売上や原価のデータと同じ画面で見られるため、廃棄と売上の関係を読む際にも役立ちます。