飲食店の原価率、何%が正解? 計算方法と「下げる前にやること」
原価率は「FLコスト」の半分
飲食店の経営で必ず出てくる「原価率」。まずは言葉の整理からです。
原価率 = 食材原価 ÷ 売上 × 100(%)
例えば、月の売上が¥400万で、食材の仕入れが¥120万なら、原価率は30%です。
よく「FL比率」という言葉とセットで語られますが、これは Food(食材)+ Labor(人件費) の合計が売上に占める割合のこと。原価率はそのうちのFの部分です。今回は、このFの原価率にしぼって話します。
目安は30%前後。でも業態でまったく違う
「原価率は何%が正解か」とよく聞かれますが、一律の正解はありません。一般的な目安は30%前後とされますが、業態によって適正値は大きく変わります。
- 居酒屋・バー: ドリンク比率が高く、原価率は低めにできる(25〜30%)
- 定食・ランチ業態: ボリュームが価値なので高めになりがち(30〜35%)
- 焼肉・寿司など素材勝負: 40%を超えることもある
大事なのは「他店より低いか」ではなく、自分の店が狙った原価率に収まっているか。だから、まず自店の数字を正確に知ることが出発点になります。
正しい計算には「期首・期末の在庫」が必要
原価率の計算でよくある間違いが、「その月に仕入れた金額」をそのまま原価にしてしまうことです。
正確には、実際に使った食材=消費した分で計算します。
当月原価 = 期首在庫 + 当月仕入 − 期末在庫
- 月初の在庫: ¥20万
- 当月の仕入: ¥120万
- 月末の在庫: ¥15万
- → 当月原価 = 20 + 120 − 15 = ¥125万
仕入れただけでまだ使っていない食材を原価に含めると、原価率がブレます。月末の棚卸し(在庫の数え上げ)が地味だけど効いてくるのはこのためです。
原価率を下げる「前に」やるべきこと
原価率が高いと、すぐ「仕入れを安くしよう」「ポーションを減らそう」と考えがちです。でも、その前にやるべきことがあります。
まず、売上を正確に把握する
原価率は 原価 ÷ 売上 です。分母である売上が正確でなければ、原価率の数字自体が信用できません。
「だいたいこのくらい」の売上で原価率を出しても、改善の判断材料になりません。日々の売上を正確に記録することが、原価管理のいちばんの土台です(売上の記録をラクにする話はExcelからアプリへでも書いています)。
次に、原価率を「推移」で見る
単月の原価率だけ見ても、高いのか低いのか判断できません。先月・先々月と並べて、上がってきているのか下がってきているのかを見て初めて意味が出ます(推移で見る考え方は客単価の考え方と同じです)。
原価率がじわじわ上がっているなら、ロスが増えているのか、仕入れ単価が上がったのか、原因を探る合図です。
小手先で下げると、客足が逃げる
原価率を下げること自体が目的になると、たいてい失敗します。
- ポーションを減らす → 「量が減った」と気づかれて客離れ
- 安い食材に変える → 味が落ちてリピート率低下
原価率は 売上とのバランスで見るもの。原価率を下げても客数が減れば、売上も利益も落ちます。だからこそ、原価率は売上・客数とセットで追う必要があります。
複数店舗なら、店舗ごとに原価率を比べるのも有効です。同じ業態で差が大きいなら、ロス管理や仕込みの差が原因かもしれません(店舗ごとに比べる重要性は多店舗チェーンの失敗でも触れています)。
まとめ
- 原価率 = 食材原価 ÷ 売上。目安は30%前後だが業態で適正値は違う。
- 正確な計算には期首・期末の在庫(棚卸し)が必要。仕入額そのままはNG。
- 下げる前に、まず売上を正確に記録する。分母が曖昧だと原価率も信用できない。
- 原価率は推移で見て、上昇の兆しを早めにつかむ。
- 小手先で下げると客離れ。売上・客数とのバランスで判断する。
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