客単価を上げる前に、まず「正しく見る」。飲食店の客単価の考え方
「客単価を上げたい」の前に止まってほしい
売上を伸ばしたいとき、多くのお店が最初に思いつくのが「客単価を上げよう」です。
でも、いきなりメニューを値上げしたり、高い商品を勧めたりする前に、ひとつ確認したいことがあります。
そもそも、今の客単価をちゃんと把握できていますか?
「だいたい3,000円くらい」という感覚はあっても、正確な数字を、店舗ごと・曜日ごとに言える人は意外と少ない。客単価は、上げる前に「正しく見る」ことから始まります。
客単価の出し方は「売上 ÷ 客数」
客単価の計算式はとてもシンプルです。
- 客単価 = 売上 ÷ 客数
例えば、1日の売上が¥340,000で、来店客数が110人なら、客単価は約¥3,090になります。
ここで注意したいのが、「客数」と「組数」を混同しないことです。
- 組数: 来店した「グループ」の数(4人で1組なら1組)
- 客数: 実際に来店した「人数」(4人なら4人)
客単価は客数で割るのが基本です。組数で割ると「1組あたりの単価(=テーブル単価)」になり、まったく別の数字になります。どちらも使える指標ですが、混ぜると判断を誤ります。
客単価は「1日だけ」見ても意味がない
ある日の客単価が¥3,500だったとして、それが高いのか低いのか、その日だけ見てもわかりません。
意味が出るのは、過去と比べたときです。
- 先月の平均客単価: ¥3,100
- 今月の平均客単価: ¥3,350
こう並べて初めて「上がってきている」と言えます。客単価は単発の数字ではなく、推移で見るもの。だからこそ、毎日記録して平均を出せる状態が前提になります。
「客単価が上がった」が、実は危険信号のこともある
ここが客単価のいちばん怖いところです。
客単価が上がっていても、喜んでいい場合と、警戒すべき場合があります。
- パターンA: 客数は変わらず、客単価が上がった → ◎ 一人あたりの注文が増えた
- パターンB: 客数が減って、客単価が上がった → △ 単価の低いお客さんが離れただけかも
パターンBは、合計売上が同じでも「客足が遠のいている」サインです。客単価だけを見て安心していると、客数の減少を見逃します。
客単価は、必ず客数とセットで見る。 これが鉄則です。
店舗ごと・曜日ごとに比べると、打ち手が見えてくる
客単価は、切り口を変えると改善のヒントが出てきます。
店舗ごとに比べる:
- A店の客単価: ¥3,400
- B店の客単価: ¥2,700
同じ業態なのに差が大きいなら、B店のメニュー構成や接客に、A店のやり方を取り入れる余地があるかもしれません(店舗ごとに比べる重要性は多店舗チェーンでありがちな失敗でも書いています)。
曜日ごとに比べる:
- 平日の客単価: ¥2,900
- 金土の客単価: ¥3,600
曜日でこれだけ違うなら、平日にもう一品頼みたくなる仕掛け(平日限定セットなど)が効くかもしれません(曜日のクセの見方は曜日別の売上分析で詳しく触れています)。
ざっくりした全体平均だけ見ていると、こうした差は平らにならされて見えなくなります。
客単価を上げる、現実的な3つの方向
正しく見られるようになったら、上げ方は大きく3つです。
- 品数を増やす — もう一品(サイドやドリンク)が自然に頼まれる流れを作る。いちばん抵抗が少ない。
- 単価の高い商品に誘導する — おすすめや看板メニューを目立たせる。値上げより角が立たない。
- 値上げする — 最後の手段。やるなら客数への影響を必ず追う。
どれをやるにしても、共通して必要なのは「やってみて、客単価と客数がどう動いたか」を記録して確かめることです。施策の効果は、数字でしか判断できません。
まとめ
- 客単価は売上 ÷ 客数。組数と客数を混同しない。
- 1日だけでなく推移で見る。先月との比較で初めて意味が出る。
- 客単価が上がっても、客数が減っての上昇は危険信号。必ずセットで見る。
- 店舗ごと・曜日ごとに比べると、改善の打ち手が見えてくる。
- 上げ方は「品数を増やす/高単価へ誘導/値上げ」。やったら必ず数字で確かめる。
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