ランチ・ディナー・アイドルタイム別の売上分析と、数字から読む打ち手
「1日の売上」だけ見ていると、損しているかもしれない
日報に書く「本日売上:38万円」という数字。合計としては正しいのですが、この数字だけを毎日眺めていると、気づけないことがたくさんあります。
その日の38万円が、ランチで22万円・ディナーで16万円だったのか、あるいはランチ11万円・ディナー27万円だったのかによって、翌日打つべき手はまったく変わります。前者なら「夜をどう埋めるか」、後者なら「昼の席をどれだけ回せているか」が問いになるからです。
時間帯別の売上分析とは、1日の数字を「ランチ帯」「アイドルタイム」「ディナー帯」に分割して、それぞれの収益貢献度・伸びしろ・問題点を把握することです。月の合計でも曜日別でも見えない「時間軸の穴」が、この切り口では浮かび上がります。
まず「3つの帯」に分けて記録する
時間帯分析を始めるうえで、最初のハードルは「どこで区切るか」です。業態によって異なりますが、ひとつの基準としてこう分けると整理しやすいでしょう。
- ランチ帯:開店〜14時ごろまで(ランチ提供の終わりを基準に)
- アイドルタイム:14時〜17時ごろ(客数が落ち込む中休みの時間帯)
- ディナー帯:17時〜閉店まで
深夜営業がある店は日付またぎの扱いに注意が必要です。この点は 深夜営業の売上管理は「25時制」で考える で詳しく解説しています。
記録する項目は最低限でも次の4つあれば分析が始められます。
- 各帯の売上金額
- 各帯の客数(組数でも人数でも、どちらかに統一する)
- 各帯の客単価(売上 ÷ 客数で算出)
- ピーク時間(その帯の中で最も混んだ1時間)
最初は「合計から引き算で出す」だけでも十分です。例えばPOSのレシート枚数が帯ごとに出るなら、それを日報に転記するだけで翌週には傾向が見えてきます。
数字の「構造」を読む:3つのパターン
時間帯別の数字を2〜4週間分並べると、だいたい次の3つのどれかに当てはまります。
パターンA:ランチ偏重型 ランチが全体の60〜70%を占め、ディナーが伸び悩む。立地がオフィス街や住宅街の昼型の場合に多い。夜の集客よりも「ランチの回転数をあと0.5回転上げる」ほうが費用対効果が高いことがあります。
パターンB:ディナー偏重型 ランチを通し営業していないか、しても売上の30%未満。夜の売上が安定しているうちは問題になりにくいが、金曜・土曜以外のディナーが弱いと週前半の売上が低迷しがちです。
パターンC:山がない型 ランチもディナーも伸びておらず、全体的に低空飛行。この場合は時間帯の問題より、客単価・集客の問題を先に見るべきです。客単価の考え方 と合わせて読むと整理しやすいでしょう。
例えば、駅前の居酒屋で平日ランチを新設したケースを考えてみます。初月の数字が「ランチ帯:8万円、ディナー帯:29万円」だったとして、ランチの客数が1日平均12人なら客単価は約667円。定食の価格帯と合っているか、回転数は何回か、といった次の問いにつなげられます。
アイドルタイムは「捨てない」と決めた店の話
アイドルタイムの分析は、ランチ・ディナーと少し性格が違います。客が来ないのは「当たり前」という前提で、どう使うかを考える時間帯だからです。
アイドルタイムの売上が月に積み上がると、意外に馬鹿にできない数字になります。仮に14時〜17時の3時間で、1日あたりカフェ利用・テイクアウト・物販などで平均3,500円の売上があるとすれば、月25営業日で87,500円。固定費の一部をこの時間帯が吸収してくれる計算になります。
アイドルタイムを「収益化する」か「仕込み・教育に使う」か、判断の軸になるのは次の問いです。
- 席数と立地から考えて、そもそも来客を見込めるエリアか
- スタッフの休憩・作業をこの帯に集中させることで、ランチ・ディナーの人件費を最適化できるか
- テイクアウトやデリバリーでカバーできる需要がエリアにあるか
「アイドルタイムに何もしていない」というのは、必ずしも問題ではありません。意識的にそこを選んでいるなら、それは戦略です。問題なのは、数字を見ずに何となく過ごしているケースです。
「曜日×時間帯」のクロスで、本当の弱点が見える
時間帯分析をさらに深掘りする方法が、曜日とのクロスです。
例えば「ディナーが弱い」とわかっても、それが毎日なのか、月〜水だけなのかによって打ち手は180度変わります。
- 毎日ディナーが弱い:商圏・業態・価格帯の見直しを検討
- 平日ディナーだけ弱い:法人・グループ需要を掘る、コース・予約特典を設ける
- 週末ディナーだけ弱い:競合との比較、SNS集客、週末限定メニューを検討
曜日×時間帯のクロス分析については 曜日別の売上分析でわかる、お店の「本当の弱点」 でも詳しく扱っているので、時間帯分析と組み合わせて読んでみてください。
実際の記録として使えるシンプルな形を示すと、次のようなイメージです。
| 曜日 | ランチ売上 | 客数 | ディナー売上 | 客数 | |------|-----------|------|-------------|------| | 月 | 52,000円 | 38人 | 61,000円 | 22人 | | 火 | 49,000円 | 35人 | 58,000円 | 21人 | | 金 | 55,000円 | 40人 | 118,000円 | 42人 |
金曜ディナーだけ突出しているとすれば、問いは「金曜の何が効いているか」「それを水曜に再現できないか」になります。数字を並べると、問いが自然に出てくるのが時間帯分析の強みです。
まとめ
- 1日の合計売上だけでは「どの時間帯に問題があるか」は見えない。
- ランチ帯・アイドルタイム・ディナー帯の3つに分けて記録するだけで、翌週には傾向が出始める。
- 数字が出たら「パターンの把握」→「曜日とのクロス」→「打ち手の絞り込み」の順で考える。
- アイドルタイムは「稼ぐか・整えるか」を意識的に選ぶことが重要で、無自覚に過ごすのが一番もったいない。
- 時間帯別の分析は、客単価や損益分岐点の計算と組み合わせると精度が上がる。
時間帯別の記録を毎日の日報に組み込むと、現場の感覚と数字がつながりやすくなります。「レジあと」では、ランチ・ディナーなど任意の時間帯ごとに売上・客数を記録でき、曜日別のクロス集計もそのまま確認できる設計になっています。記録の手間を最小限にしながら時間帯分析を習慣にしたい方は、まずは無料でお試しください。
よくある質問
Q. 時間帯別の売上はPOSがないと分析できませんか?
POSレジがなくても、手書きや簡単なスプレッドシートで記録できます。時間帯の区切りを「ランチ終わりのタイミング」「ディナー開始のタイミング」にレジを締めるクセをつけるだけで、帯ごとの合計金額と客数が手元に残ります。毎日続けることが最も大切で、ツールの精度より記録の継続のほうが分析の価値を左右します。
Q. アイドルタイムに売上を作るための施策として何が現実的ですか?
立地と業態によって正解は異なりますが、比較的取り組みやすいのはテイクアウトの拡充・カフェ利用の告知・仕込みや予約受付に特化した業務運用の3つです。いずれも「アイドルタイムの客数と売上を2〜4週間記録してから判断する」ことが先決です。数字のないまま施策を打つと、効果があったのかどうかも検証できません。
Q. 「レジあと」では時間帯別の売上はどのように記録するのですか?
「レジあと」では、ランチ・ディナーなど店舗ごとに設定した時間帯単位で売上と客数を日報として入力できます。入力されたデータは自動で週・月単位に集計され、曜日×時間帯のクロス表としても確認できます。入力自体はスマートフォンから1〜2分で完了する設計のため、閉店後のルーティンに組み込みやすいのが特徴です。