月末15分でできる飲食店の月次振り返り|見るべき数字の順番と型
「月が終わった」で終わっていませんか
月末にレジを締めて、売上合計をざっと確認して、「まあそんなもんか」で翌月が始まる——そういう月次振り返りになっていませんか。忙しい現場ではしかたのないことですが、月次の数字を正しく読む習慣がないと、同じ「弱い月」を毎年繰り返すことになります。
かといって、会計ソフトの試算表を1時間かけて眺めるような振り返りは続きません。必要なのは「何を・どの順番で・何分で見るか」を決めておくことです。この記事では、月末に15分で終わらせられる月次振り返りの型と、見るべき数字の順番を紹介します。
STEP 1(3分):まず「前年同月比」だけを見る
最初に見るのは今月の合計売上ではなく、前年同月比です。
理由はシンプルで、飲食店の売上は季節・曜日配列・天気に大きく左右されます。「先月より下がった」は当然のことが多く、比較対象として意味が薄い。一方、前年同月は同じ季節・ほぼ同じ曜日配列を経験しているので、純粋に「お店の実力が上がったか下がったか」を測りやすいのです。
例えば、今月の売上が280万円で前年同月が260万円なら前年比107%。これが好調か不調かの第一判断になります。
ここで注意したいのが、前年に特殊要因(改装休業・近隣のイベント・大雪)があった場合です。その月の前年比は参考程度にとどめて、2年前の同月と比べる方が実態に近くなることがあります。雨や天気との関係については 飲食店の雨の日対策|天気と売上の関係を記録で掴み、落ち込みを減らす も参考になります。
STEP 2(4分):「週ごと」に分解して山と谷を探す
月の合計が見えたら、次は週単位に分解します。月を4〜5週に区切り、週ごとの売上を並べるだけで、「どこで取れてどこで取れなかったか」が一目でわかります。
例えばこんな感じです。
- 第1週:68万円(前年比103%)
- 第2週:72万円(前年比110%)
- 第3週:54万円(前年比89%)
- 第4週:61万円(前年比98%)
この例だと第3週だけが大きく沈んでいます。「あの週は雨が多かった」「連休と重なった」「大きなキャンセルがあった」——原因が特定できれば次月の計画に活かせます。原因がわからなければ、日報に天気・特記事項を書く習慣が必要なサインです。
週分解のあとに曜日別の傾向を確認したい場合は、曜日別の売上分析でわかる、お店の「本当の弱点」 に詳しく解説しています。
STEP 3(4分):FL比率を月次で確認する
売上の次に見るのはFL比率(食材原価+人件費の合計が売上に占める割合)です。
FL比率は日次では多少ブレますが、月次でならすと安定したベースラインが見えてきます。業態によって目安は異なりますが、多くの場合55〜65%の範囲に収まっているかを確認することが出発点です(詳細な業態別目安については 飲食店の人件費率とFL比率の見方・業態別の目安と下げ方の考え方 をご覧ください)。
月次振り返りでは、細かい改善策よりも「先月より悪化していないか」「季節的に人件費が膨らむ時期と重なっているか」を問うだけで十分です。例えば、売上が前年比105%なのにFL比率が前月より3ポイント悪化しているなら、売上は取れているのにコストが追いついていないサインです。この場合は仕込みの廃棄や残業が増えていないかを振り返る起点にします。
STEP 4(2分):「今月の一つの出来事」を言語化する
数字の確認が終わったら、最後に1〜2文だけメモを残します。振り返りで大事なのは、数字を見ることだけでなく「なぜそうなったか」を言葉にする習慣です。
書くのは次のどれか一つでかまいません。
- 今月うまくいったこと(例:金曜ディナーの予約率が上がった)
- 今月失敗したこと(例:仕込みすぎで第3週に廃棄が増えた)
- 来月に試したいこと(例:月曜のランチにビジネスセット追加)
このメモが1か月後の「前年同月比の文脈」になります。数字だけでなく出来事とセットで記録しておくと、翌年同じ時期に「去年の同じ週、何があったっけ」が思い出せます。日報をこのメモの場として使っている店舗も多いです。
STEP 5(2分):来月の売上目標を一つ決めて終わる
最後の2分で来月の数字目標を一つだけ決めます。「来月は頑張る」ではなく、具体的な数字を一つ。
例えば「前年比105%を超える」「週ごとの最低ラインを55万円に保つ」「FL比率を今月より2ポイント改善する」のように、今月の振り返りから自然に導ける目標にします。売上目標の立て方の詳細は 飲食店の売上目標、どう立てる? にまとめているので、目標設定の考え方から整理したい方はそちらも参考にしてください。
15分の振り返りは、ここで終わりです。決めすぎない・細かくしすぎないことが、毎月続けるための鉄則です。
まとめ
- 月次振り返りはまず前年同月比から入る。先月比や合計額だけ見ても判断しにくい。
- 次に週ごとに分解して、山と谷の週を特定する。原因が特定できれば打ち手につながる。
- FL比率を月次で確認し、前月・前年と比べて悪化していないかをチェックする。
- 数字と一緒に出来事を一言メモしておくと、翌年の文脈として活きる。
- 最後に来月の目標を一つだけ決めて締める。細かく立てすぎない。
- 全部で15分以内で終わらせることを型として固定すると習慣になる。
月次振り返りを続けるうえで一番の障壁は、数字を引っ張ってくる手間です。日報や売上データが分散していると、振り返りに入る前に集計で時間を使い切ってしまいます。「レジあと」は飲食店の日報・売上データを一か所にまとめて、前年比や週別の推移をすぐ確認できる状態にするためのツールです。15分振り返りの下準備として使っている店舗が多いので、まずは無料でお試しください。
よくある質問
Q. 月次振り返りに理想の頻度や時間帯はありますか?
月次振り返りは月末か翌月の最初の営業日、閉店後の30分以内に行うのが続けやすいです。月をまたいで間が空くほど記憶が薄れ、出来事と数字を結びつけにくくなります。時間は最初のうちは15〜20分を目安に、慣れてきたら10分で終わることも珍しくありません。「完璧に分析する」より「毎月必ずやる」を優先した方が、長い目で見て数字の感覚が身につきます。
Q. 前年同月比が出せない場合(開業1年未満など)はどうすればいいですか?
開業1年未満で前年データがない場合は、前月比と「自分が想定していた予算との比較」を使います。例えば開業時に月商目標を決めていたなら、それに対して何%達成できたかを基準にします。また、週ごとの分解と出来事のメモは初月から意味があるので、とにかく記録を積み上げることを最優先にしてください。2年目から前年比が使えるようになると、比較の精度が一気に上がります。
Q. 「レジあと」を使うと月次振り返りの何が変わりますか?
最も変わるのは「数字を集める手間」がなくなる点です。日報に入力されたデータが自動で集計され、前年同月比・週別推移・FL比率の変化などが画面上で確認できる状態になります。これにより、振り返りのほぼ全時間を「数字を読む・解釈する・メモする」に使えるようになります。Excelに転記したり、レジの記録を手動で足したりする作業が月次振り返りの前工程として存在している店舗には、特に効果を感じていただきやすいです。